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ガス拡散層(GDL)の構成要素である基材と撥水層(MPL)の組み合わせによってどの程度性能が変わるのか、相互作用を調べたペンシルベニア州立大学の論文を読んだ。



Investigation of macro- and micro-porous layer interaction in polymer electrolyte fuel cells

固体高分子型燃料電池のガス拡散層についての論文。
ペンシルベニア州立大学が行った研究で、基材とMPLの組み合わせごとに、広範囲の作動条件に渡ってパフォーマンステストを実施したというもの。

拡散媒体=DM(Diffusion Media)は、水と電子と熱の輸送に影響する。多孔質基材に親水性の不均一なコーティング(テフロン=PTFE)が施され、適切な濡れ性を実現する。

MPLはPTFEと混合したカーボンブラックの層で、CL-DM層間の電気的接触(機材のファイバーがCLに侵入しない)と機械的適合性を向上させ、液体の水の流れが高分子膜を介してアノード側に送られ、膜の脱水を防ぐことができる。

GDLが性能に及ぼす影響は、GDL基材(macro-DM backing layer)とMPLの相互作用によるところが大きいが、毛細管流動の議論にとどまっている。基材とMPLの組み合わせでどのように性能が変化するのか、また耐久性に影響があるのかを、実験的に調査している。

評価条件はstoichiometric ratio= 1.2, 2、ウェット条件ではセル温度60度、相対湿度100%RHでanode/cathodeガスを加湿している。C,NW,Pの3基材に対してM,CのMPLを塗布(or塗布しない)という8条件で検討している。

MPLの付与によりいずれも性能が向上する。C+Cの組み合わせではMPLなしに対して0.4Vに至る電流密度が1.8[A/cm2]→3.2[A/cm2]まで向上している。

結果をまとめると、
・アノードにMPLを設置しても抵抗は変わらないし、組み合わせによるばらつきも小さい(Fig.6)
・カソードは基材とMPLの関係で効果度が異なる(Fig)
・MPLには、疎水性の劣化を低減する効果もある

【所感】
マッシブなレポートだった。
基材とMPLの組み合わせ次第で性能が変わるということだと、いずれか単品での設計で性能向上の見られるものを組み合わせても意味がなさそうだ。
撥水性の劣化に効果あり、というのは初耳だった。長期間液水に晒されることで、炭素繊維の構造やバインダーの配向、PTFEの量が変化する可能性があるとのこと。これが本当であれば、生成水が多く通るようなクラックが存在すると、その部分の撥水性が低下して劣化しやすくなるなどの問題があるかもしれない(逆に、劣化して液水流路の撥水性が上がる方が良いかもしれないが)。